前歯が欠けたらどうする?できるだけ歯を削らず治したダイレクトボンディング症例
「食事をしていたら前歯が欠けてしまった」
今回は、このようなお悩みで来院された50代男性の症例をご紹介します。
前歯が大きく欠けると、「セラミックを被せないと治せないのでは?」と心配される方もいらっしゃいます。
しかし、歯が欠けたからといって、必ずしも歯全体を大きく削って被せ物にするとは限りません。
欠けた範囲や神経の状態、残っている歯の量、噛み合わせなどの条件によっては、ダイレクトボンディングによって、健康な歯を削る量をできるだけ抑えながら修復できる場合があります。
今回の患者さんも、
「セラミックにするために歯を大きく削るのは避けたい」
「できるだけ自分の歯を残しながら、自然な見た目に戻したい」
というご希望がありました。
当院ではまず歯の神経の状態を確認して応急処置を行い、約2週間後に再度状態を確認したうえで、ダイレクトボンディングによる修復を行いました。
■ 食事中に右上の前歯が欠けて来院されました

50代男性の患者さんです。
食事をしていたところ、右上の前歯(右上中切歯)が突然欠けてしまったとのことで来院されました。
前歯は人から見えやすい場所のため、欠けてしまうと見た目が気になるだけでなく、「神経まで傷んでいないか」「この歯を残せるのか」と不安になる方も少なくありません。
診査を行ったところ、初診時には歯髄の生活反応が確認できました。
ただし、歯が大きく欠けた場合には、見た目を修復することだけでなく、歯の神経の状態を確認することも大切です。
そのため今回は、当日に最終的な修復まで行うのではなく、まず欠けた部分の応急処置を行いました。
■ 前歯が欠けても、神経の状態を確認することが大切です
歯が欠けた直後に神経の反応が確認できたとしても、その後の経過観察が不要になるわけではありません。
歯が大きく欠けた場合には、その後に症状や歯髄の状態が変化する可能性もあるため、状態を確認しながら治療を進めることが大切です。
今回も歯髄の状態や症状の変化を確認するため、初診当日は応急処置を行い、約2週間後に再評価したうえで最終的な修復を行うことにしました。
※歯が欠けた際の治療時期や経過観察の方法は、欠け方や歯髄の状態などによって異なります。
■ 前歯が欠けたときには、どんな治療方法がある?
前歯が欠けた場合の治療方法は一つではありません。
欠けた範囲や場所、歯髄の状態、噛み合わせなどによって、
・コンポジットレジンによる修復
・ダイレクトボンディング
・セラミックによる修復
などを検討します。
欠損が大きく歯髄まで影響している場合には、歯髄を保存する治療や根管治療などが必要になることもあります。
そのため、
「前歯が欠けた=セラミック」
あるいは、
「前歯が欠けた=レジンで詰めれば大丈夫」
と一律に決まるわけではありません。
まず、なぜ歯が欠けたのか、どこまで欠けているのか、神経に問題がないか、その歯をどのように修復すれば長く使用できるかを診査することが重要です。
■ 「セラミックで歯を大きく削りたくない」というご希望
今回の患者さんが特に希望されたのが、
「できるだけ自分の歯を残したい」
ということでした。
セラミック治療は、適応を選べば審美性や機能性を回復するための有効な選択肢です。
一方で、クラウンなどの治療方法を選択した場合には、修復物を装着するために残っている歯を削る必要があります。
今回の右上前歯には、まだ多くのご自身の歯が残っていました。
そこで、
・できるだけ健康な歯質を残したい
・前歯なので自然な見た目にしたい
・セラミックのために歯を大きく削ることは避けたい
という患者さんの希望と歯の状態を合わせて検討し、ダイレクトボンディングによって欠けた部分を中心に修復する方法を選択しました。
■ 約2週間後、ダイレクトボンディングで前歯を修復
約2週間後、症状や歯髄の状態などを再度確認しました。
問題なく治療を進められると判断し、ダイレクトボンディングによる最終修復を行いました。

ダイレクトボンディングでは、歯とコンポジットレジンを接着させながら、口腔内で直接歯の形を作っていきます。
接着操作を行う際に唾液や湿気が入り込むことは、できるだけ避けなければなりません。
そのため当院では、今回の治療でもラバーダム防湿を行い、治療する歯を唾液などから隔離した状態で接着操作を行いました。
その後、周囲の歯との色調や透明感、表面の形態などを確認しながらコンポジットレジンを積層し、欠ける前の歯の形を意識して修復していきます。
■ ダイレクトボンディング治療後

治療後の状態です。
欠けていた右上の前歯を、残っている歯質をできるだけ保存しながらダイレクトボンディングで修復しました。
前歯は単純に「白い材料を詰める」だけでは、周囲の歯から浮いて見えることがあります。
今回は周囲の歯の色調や形態との調和を考えながら、自然に見えることを目指して修復しました。
■ Before / After


治療前:
食事中に右上の前歯が欠けた状態
治療後:
ダイレクトボンディングにより欠損部分を修復
今回のように条件が合えば、前歯が欠けた場合でも、残っている健康な歯を大きく削って被せ物にするのではなく、欠けた部分を中心に修復するという選択肢があります。
ただし、すべての欠けた歯をダイレクトボンディングで治療できるわけではありません。
■ 前歯が欠けたら、ダイレクトボンディングで治せる?
これは患者さんからよくいただく質問ですが、答えは「歯の状態によります」。
ダイレクトボンディングを検討しやすいのは、残っている健康な歯質を利用して接着修復できるケースです。
一方で、
・欠けた範囲が非常に大きい
・虫歯が広範囲に及んでいる
・歯髄への影響がある
・歯根まで破折している
・噛み合わせによる負担が大きい
などの場合には、別の治療方法が適していることがあります。
「削りたくないからダイレクトボンディング」と治療法を先に決めるのではなく、まず歯の状態を診査してから選択することが重要です。
■ 前歯が欠けたけれど痛くない。放置しても大丈夫?
痛みがないからといって、必ずしも問題がないとは限りません。
小さな欠けに見えても象牙質まで達していることがありますし、欠けた原因や範囲によっては歯髄への影響を確認した方がよい場合があります。
また、欠けた部分に鋭利なところがあれば、舌や唇を傷つける可能性もあります。
そのため、前歯が欠けた場合は、痛みの有無だけで自己判断せず、一度歯科医院で状態を確認することをおすすめします。
■ 前歯が欠けたときのよくある質問
Q. 前歯が欠けたら、その日に治せますか?
欠けた範囲や歯髄の状態によります。
小さな欠損であれば当日に修復できる場合もありますが、今回の症例では歯髄の状態や症状の変化を確認するため、初診時には応急処置を行い、約2週間後に最終的な修復を行いました。
Q. 前歯が欠けたらセラミックにしないといけませんか?
必ずしもそうではありません。
欠けた範囲や残っている歯質などによっては、コンポジットレジンやダイレクトボンディングで修復できる場合があります。
一方で、欠損が大きい場合などにはセラミック修復の方が適していることもあります。
Q. ダイレクトボンディングなら歯をまったく削りませんか?
「まったく削らない」とは限りません。
接着や形態修正のために必要最小限の処置を行う場合があります。
ただ、症例によってはクラウンなどと比較して、健康な歯を削る量を抑えられることがダイレクトボンディングの特徴の一つです。
Q. 治した前歯がまた欠けることはありますか?
あります。
ダイレクトボンディングは永久に欠けない治療ではありません。
噛み合わせ、歯ぎしり・食いしばり、修復範囲などによって、欠けたり摩耗したりする可能性があります。
そのため治療後も定期的に状態を確認していきます。
■ 今回の治療内容
患者:50代男性
治療部位:右上中切歯(右上1番)
主訴:食事中に前歯が欠けた
歯髄の状態:生活歯
治療方法:ダイレクトボンディング
治療回数:2回
治療期間:約2週間
治療費:110,000円(税込/税別100,000円)
リスク・副作用:
経年的な変色・摩耗、欠け・脱離などが生じる可能性があります。また、歯髄の状態によっては将来的に追加の治療が必要になる可能性があります。
※治療結果には個人差があり、すべての症例で同様の結果になるとは限りません。
■ 前歯が欠けても、できるだけ自分の歯を残せる場合があります
前歯が欠けると、「全部削って被せないといけないのでは」と不安になるかもしれません。
しかし、欠け方や残っている歯の状態によっては、健康な歯質をできるだけ残しながら修復できる場合があります。
今回の患者さんも、セラミック治療で歯を大きく削ることを希望されなかったため、歯髄の状態を確認しながら治療を進め、ダイレクトボンディングによって欠けた部分を修復しました。
池尻歯科医院では、治療方法を先に決めるのではなく、患者さんが何を大切にしたいのかを伺い、歯の状態と合わせて治療方法をご提案しています。
前歯が欠けてしまった方や、「できるだけ自分の歯を削らずに治したい」とお考えの方は、一度ご相談ください。
【titleタグ】
前歯が欠けたらどうする?できるだけ削らず治した症例|福岡市西区の池尻歯科医院
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食事中に前歯が欠けた50代男性の症例。セラミックで歯を大きく削ることを避け、歯髄の状態を確認したうえでダイレクトボンディングにより修復しました。前歯が欠けた場合の治療方法や、レジン・セラミックとの違いについて福岡市西区の池尻歯科医院が解説します。