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虫歯治療の方法や保険と自費の違いを解説
お口の2大疾患である虫歯は、誰もがかかる可能性のある病気です。しかも虫歯は自然に治ることがなく、放置していると徐々に進行していくため、十分な注意が必要といえます。とくに「痛みが出たら歯医者に行こう」と考えている方は要注意です。今回はそんな虫歯という病気の特徴や治療する方法を保険診療と自費診療の違いも含めてわかりやすく解説します。ご自身の歯に虫歯ができていることを自覚している方は、ぜひこのコラムを参考にしてください。
虫歯ってどんな状態?

虫歯は、ミュータンス菌に代表される虫歯菌が歯に感染している状態です。虫歯菌は、糖質をエサにして生命活動を営む傍らで、エナメル質や象牙質を溶かす“酸”を生成します。そのため虫歯になると歯質が溶けて歯に穴があきます。ただし、エナメル質には神経が分布していないことから、軽度の虫歯で痛みを感じることはありません。つまり、虫歯特有のズキズキといった歯痛が生じている場合は、もうすでに歯の神経にまで感染が広がっていることを意味するのです。その時点で歯医者を受診すると、神経を抜く抜髄や根管治療といった手間と時間とお金がかかる処置が必要となることから、できればもう少し早い段階で治療を始めたいものです。
保険治療と自費治療の違い
虫歯治療は、保険診療と自費診療のどちらか一つを選択することになります。
保険診療の虫歯治療
保険診療では、虫歯治療に使える材料や選択できる施術法が限定されています。具体的には、歯を削った後に装着する人工歯は、歯科用プラスチックであるレジンか銀歯しか使えません。近年は、CAD/CAM冠やPEEK冠といった人工歯を選べるようになりましたが、これらもプラスチックであることに変わりはありません。また、保険診療では、歯科用CTやマイクロスコープなど、治療の精度を高める先進の医療機器を使用することができませんのでご注意ください。その一方で、保険診療は費用が安くて、どの歯科医院でも同じ処置が受けられるというメリットが得られます。
自費診療の虫歯治療
自費診療の虫歯治療では、使用できる材料や選択できる施術法に制限がありません。天然歯の色調や光沢、透明感を忠実に再現できるセラミックを使用できる点は、自費診療の大きなメリットの一つといえます。また、自費診療では1回の診療に長い時間をかけられるため、虫歯治療の期間を短くすることが可能です。歯科用CTによる画像診断やマイクロスコープを活用した精密な処置を実施することで、虫歯の再発リスクも最小限に抑えられることでしょう。ただし、自費診療では虫歯治療にかかった費用が全額自己負担となるため、経済面にデメリットがある点は否定できません。
虫歯の治療方法は何がある?
最後に、虫歯治療の方法について解説します。基本的には、細菌に感染した歯質をドリルで削り、その結果、生じた欠損部分をさまざまな材料で補います。軽度の虫歯であればコンポジットレジン充填、中等度の虫歯では詰め物(インレー)・被せ物(クラウン)の装着が必要となります。上段でも述べたように、詰め物・被せ物の材料は、保険診療と自費診療とで選択肢が異なります。
【保険診療】レジン歯や銀歯
保険診療では、詰め物・被せ物の材料としてレジンか歯科用合金を使うのが一般的です。一定の条件を満たすことで、審美性や耐久性、生体親和性に優れたCAD/CAM冠・PEEK冠を選択できますが、どちらもプラスチック材料なので、経年的な変色や摩耗が起こります。
【自費診療】セラミック

自費診療の場合は、詰め物・被せ物の材料としてセラミックを選ぶのが一般的です。セラミックは、見た目が美しいだけでなく、経年的な劣化も起こりにくいです。保険診療の詰め物・被せ物より虫歯の再発リスクが低い点も大きなメリットといえます。ちなみにセラミックには、オールセラミック、ジルコニア、ハイブリッドセラミックなどの種類があり、それぞれ異なる特徴やメリット・デメリットを伴うため、歯科医師と相談した上でご自身に適しているものを選ぶことが大切です。
【自費診療】ダイレクトボンディング
ダイレクトボンディングは、ペースト状の材料を歯に直接、盛り付けて光で固める治療法で、歯を削る量を最小限に抑えられます。治療も基本的には即日で終わります。この手法は、保険診療で行われているコンポジットレジン充填とほぼ同じなのですが、自費診療の場合は、セラミックが混ざった特別な材料を使用したり、審美性をとことんまで追求したりすることが可能です。
まとめ
今回は、虫歯の特徴や治療方法、保険診療と自費診療の違いについて解説しました。虫歯は細菌によってエナメル質や象牙質が溶かされる病気で、歯科医院で治療を受けなければ治すことができません。経済面を重視するのであれば保険診療の虫歯治療、審美性や機能性、再発リスクの低さなどを重視するのであれば自費診療の虫歯治療がおすすめです。いずれにしても虫歯は自覚した時点で歯医者を受診するようにしてください。