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「しっかり噛めるようになりたい」患者さんの選択肢
先日、50代の男性が当院を訪れました。彼は長年、歯のトラブルを抱えながらも仕事や家庭の事情でなかなか治療を受けられず、気がつけば口の中はボロボロの状態に。そんな中、「これ以上放っておくわけにはいかない。しっかり噛めるように治療をしてほしい」との強い思いで来院されました。
彼はすでに別の歯科医院で相談をしており、そこで受けた説明は「すべての歯を抜いて、オールオン4にするのが最善」というものでした。確かに、彼の口腔内には重度の歯周病や虫歯が進行している歯が多くあり、抜歯せざるを得ない部分も少なくありません。しかし、すべての歯を抜くのではなく、残せる歯を活かす治療ができるのではないかと考えました。
治療プランの検討
当院で詳しく診査をしたところ、確実に保存できる歯もいくつかありました。しかし、しっかり噛めるようにするためには、奥歯にインプラントを入れる必要がある状態。とはいえ、患者さんのご予算を考えると、すべての奥歯にインプラントを埋入するのは難しいという課題がありました。
そこで、私たちは患者さんの希望と経済的負担を考慮し、以下のような治療プランを提案しました。
保存できる歯は最大限残し、活用する
抜歯が避けられない歯は速やかに抜歯し、歯周病の進行を食い止める。
健康な歯は歯周病治療を行い、長く機能できるように管理。
最低限のインプラントを活用
奥歯の噛み合わせをしっかりと安定させるために、必要な部分だけインプラントを埋入。
インプラントの本数を最小限にすることで、費用を抑えつつもしっかり噛める環境を作る。
精密な自費の入れ歯を併用
インプラントと残存歯を活用し、しっかりフィットする精密な自費の入れ歯を作成。
入れ歯とはいえ、違和感を極力少なくし、噛みやすい設計を採用。
このプランにより、患者さんは「すべての歯を抜かなくても済む」「オールオン4よりも経済的負担を抑えられる」「それでもしっかり噛める」という大きなメリットを得られることになりました。
患者さんの喜び
治療が完了した後、患者さんは「最初はオールオン4しか選択肢がないと思っていたが、こういう方法もあったんですね。費用面でも助かりましたし、何より自分の歯が残せたのが嬉しいです」と喜んでくださいました。
もちろん、インプラントは非常に優れた治療法ですが、患者さんごとに適した方法は異なります。当院では、歯周病認定医が歯の保存に徹底的にこだわりながらも、抜歯が必要な場合は適切なタイミングで行い、一人ひとりに合った最適な治療プランを提案しています。
「しっかり噛めるようになりたい」「抜歯と言われたけど他に方法はないか?」とお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。あなたにとって最適な治療方法を一緒に考えていきます。